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6話
「あっ‼篠田さんだ」
祐斗が篠田の姿を見つけた。螺旋階段が手摺に肘を置き頬杖をついて、笑みを浮かべむつたちを見ていた。
「何か持ってるみたいだね」
「うん、行こう」
篠田の所に向かって走り出そうとしたが、その行く手を霊たちによって塞がれた。
「半透明なのに何が出来るのさ」
むつは霊たちを気にせず、突っ切ろうとしたが出来なかった。どんっとぶつかったのだ。実体がなかったはずの霊たちは、肉体を手にしていた。
「な、何でですか?」
「ここはヤツのテリトリーだからね」
「全然、意味分からないですって」
むつは刀を抜いた。実体のある人になっているというのに、手加減をするつもりはさらさら無いらしい。
「むつさん、まじっすか?生きてる人だったら、どうするんですか」
「っち…生きてる人居るの?」
「え…?そんな気がして」
むつはもう1度舌打ちをした。そして、刀を鞘に戻すと、鞘ごと引き抜いた。
「これなら、大丈夫。痛いだけ」




