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6話
「どこからか、分かる?」
「んー?何かあっちからもこっちからもって感じがして分かんないかも」
むつは気配を探るように、壁や天井に目を向けている。その間にも音楽は鳴り止む事なく続いているし、霊たちもくるくると踊っている。
「あ、篠田さん…踊ってる」
「元気そうだな。顔色悪いみたいだけど」
「…?死んでるからでしょ」
篠田は豪華でふりるのたっぷりついたドレスを着た外人の手を取り、くるくると踊っている。霊たちは優雅に踊ってはいるが、楽しそうには見えない。無表情に機械のように、揃って動いている。
「操られてるだと思う」
むつは篠田を見ていた。その篠田は見られている事に気付いたのか、むつの方を見て、にやりと笑った。
「え?」
瞬きをしている間に、また元の無表情に戻っていた。そして、くるくると回りながら見えなくなっていった。
「どうした?」
「篠田さん、こっち見て笑った気がして…分かった気がするよ」
むつは見えなくなった篠田を追うように、霊たちの中に入っていく。




