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6話
「生き物にしては血色が悪いな」
颯介は茶色っぽい壁面や足元を見た。
「前に湯野さんが見付けた、巨大なやつでしょうか」
「そうなんじゃない?でも、船とかまで飲み込む程のサイズだった?」
「遠目だったし、水中だったから分からなかっただけかもな」
三人は顔を見合わせて黙った。常に、行き当たりばったりで仕事をしてきたが、ここまで悩むのは珍しかった。
「お腹空いた」
むつは、ぼそっと言うと胡座をかいて座った。颯介と祐斗はぎょっとした。このぬめりのある所に座るむつが、信じられなかった。
だが、むつは構う事なく、ぱんぱんっと叩くと二人にも座るよう促した。
「どうせもう全身、きったないんだからズボン汚れるくらい気にすんなよ」
「ですね」
颯介と祐斗もそろそろと腰を下ろした。




