6話
「それより、篠田さんはどこなんだろ」
むつはふっと思い出したように言った。颯介と祐斗にもそれは分からない。なすすべもなく、突っ立っているとぐらっと地面が揺れた。
「むつさん‼」
「あたし何にもしてないってば」
波打つように上から、下に向かって地面がうねった。それは最初は小さく回数が増すように、大きくなっていった。
「むっちゃん、刀を‼」
颯介に言われむつは刀を抜いて渡した。颯介はそれを突き刺し、むつと祐斗を片腕で抱えた。
「あの中に流そうとしてる…?」
むつと祐斗は、それにいち早く気付き颯介が流されないように、してくれているのだと分かった。
むつは刀の鍔の辺りを掴み、刀を深く差し込んだ。颯介もむつがどういうつもりなのか分かったようで、しゃがみこんだ。
二人に支えられ祐斗も空いている柄を持った。祐斗を支えるようにしつつ、むつと颯介は互いの肘の部分を持ち合っている。一人でもバランスを崩せば全員が、流される状況だった。
しばらく緊張しつつ耐えていると、だんだんと揺れが収まってきた。完全に収まると、颯介は刀を抜いてむつに返した。
「ここは何かしらの生き物の腹の中で、やっぱりあれは消化液ね」
むつは汚れた刀を服で拭うも、服もすでにぬるぬるしていて、あまり意味がなかった。




