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6話
釣瓶火の明かりに照らされて、三人が居る場所がどんな所なのかが、だんだんと見えてきた。
全体が見えているわけではないが、船が半分程沈んでいるのが見えた。
「漁船かな」
よく見ればあちこちに船の残骸、ボート、浮き輪なんかが見えた。どれも海で使うものだ。そして、新しい物もあれば古そうで錆びているものもあった。
「色々な物がありますね」
「どういう事だろ」
むつは何も言わずに、池の中に沈んでいる船や人の顔をじっと見ていた。
「むつさん?」
むつは、腰に差していた日本刀をすっと抜いて足元に深々と突き刺した。鍔の所まで難なく刺さった。
「何してるんですか‼」
「何か反応があるかと思って」
あっさり引き抜き、刀身に付着した液体を洋服でふいて鞘に戻した。
「どうなってるんだろ」