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6話
真っ暗な中をむつと颯介は滑って行くと、平らな場所に出たがすぐには止まれなかった。そして、気付いた時には地面がなくなった。
ざぶんっとむつと颯介は池のような所に落ちた。そこは、ぬめりのある液体で満たされていた。
「口に入ったっ…うえっ」
「むっちゃん、とりあえず上がろう」
颯介に言われむつは、何とか這い上がった。折角しぼった髪の毛はもうどうにもならない程に、ぬるぬるしている。
真っ暗で颯介の居場所さえも分からない。釣瓶火も居なくなっていて、むつは仕方なく陰火をつけた。
青白い炎に照らされて、颯介の居る場所が分かった。むつは、颯介の所に行くと陰火を少し大きくし辺りを照らしてみる。
「だいぶ落ちたのかな?」
颯介も顔や服のぬめりを拭い落としていたが、きりがないと分かると諦めたようだった。
 




