244/309
6話
「…んっ、……ゃんっ、むっちゃん」
肩を揺さぶられむつは目を覚ました。目の前には、心配顔の颯介と祐斗が居た。どうやら、はぐれる事なく一緒の場所にたどり着けたようだ。
「ここは?」
むつはゆっくり上体を起こした。髪の毛も服もしっかりと、びしょ濡れだった。
「さぁ?分からないけど、霊たちに連れられて来たんだと思うよ」
立ち上がろうと地面についた手をすぐに引っ込めた。地面だと思ってたいたが、違うようだ。弾力があり、ふよっと柔らかくぬるっとしている。
「鯨にでも食べられたのかな?」
「ってより、これは霊が集まって作ったものなんじゃないですか?どこからでも、気配がしてますよ」
祐斗の手を借りてむつは立ち上がった。踏むと軽く沈み、押し上げてくる感じが何とも気持ち悪い。
「あ、釣瓶火も無事だったんだね。さて、どっちに行く?」
目しかない火の玉は、ふわふわと上下に飛んでいる。乱れた髪の毛を集めてしぼり、ポニーテールにした。ぬるったものが手にべったりとつき、むつは気持ち悪そうにズボンで拭った。




