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6話
腰の辺りまで浸かると、するすると霊たちが絡み付いてくるのが分かった。そして、沖の方へとぐいぐいと引っ張られた。
「うぅ…気持ち悪い」
立ち止まりそうになった時、ぐいっと強く足を引っ張られむつはそのまま海水の中に倒れた。
「むっちゃ‼っつ‼」
「うっわぁぁあ」
颯介と祐斗も引っ張られたのか、バシャンっという水音が聞こえた。水中に引きずり込まれた三人は、それでもしっかりと手を握ったままだった。
引きずり込まれ、引っ張られるのに身を任せていたむつだったが、ふと息苦しさがない事に気付いた。ゆっくり目を開けてみると、三人の周りに霊が沢山集まりそこだけ周囲と隔離されているかのような空間になっていた。
腰の辺りまでは自分で水に入って行ったから、しっかり濡れてはいたが顔や髪の毛なんかは水分を含んでいない。そして、呼吸もしっかり出来ていた。




