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6話
「夜、見たのって初めてだもんね」
颯介はしみじみとした様子で、クラゲのような霊が居る海を見ている。
「あっ‼そっか、むつさんが気を失ったりしたからそれどころじゃなくなって」
「今回は足を引っ張って悪いと思ってます…って颯介さんにもはっきり視えてる?」
「ぼんやりと、ね」
「数が多すぎるんだね…ねぇ今更だけどさ、あたし幽霊ってわりと専門外なのよ。送り方よく分かんない」
むつは、うんうんと頷いている。
「祐斗の担当ね」
「そうだね、役割大事」
颯介も丸投げするように言い、頷く。
「ま、そういうわけだからさ…祐斗。どうする?」
「むつさん方式なら突っ込んでいって、本体の所に辿り着こうとしますよね」
「まぁ‼あたしが考えないやつみたいな言い方止めてくれるぅ?」
むつが頬を脹らませ抗議した。だが、他に何か方法がありそうな気がしない三人はゆっくり防波堤を降りて砂浜に立った。
「はぐれないように、手繋いどく?」
「子供みたいだな」
「ってより、集団入水自殺みたいですよ」
 




