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5話
投げた札は霊をすっぱりと切り、西原に絡み付いていた手も消えた。むつはそのまま2枚目の札を、篠田の方に向かって投げた。だが外れた。
「篠田さん‼篠田さんっ‼」
篠田の身体が、だんだんと霧に包まれ見えなくなっていく。大声で名前を呼んでみるも、返事は返ってこなかった。
背中から落下しながらむつは、人形を投げた。
「ノウマク・サンマンダ・バザランダ・カンっ‼」
真っ直ぐに飛んでいく人形に火がつき、篠田が居た辺りを明るく照したが、その姿はもう見えなかった。
「むつ‼」
落ちてくるむつの下に冬四郎が滑り込んで受け止めた。腕の中にしっかりおさまったむつは、すぐに降りると西原は大丈夫だろうかと、キョロキョロした。
西原は颯介がしっかり受け止めていた。
「良かった…しろーちゃん、ありがと。腕、大丈夫?」
「大丈夫だ」
「颯介さん、西原先輩は?」
「大丈夫。気を失ってるけど」
颯介はそっと地面に西原を下ろした。




