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5話
「上手く逃げや、捕まったら引きずり込まれるで」
片車輪と篠田は、手に触れられないように器用に避けている。
「お嬢ちゃんらと合流や」
「は、はいっ‼」
車輪に火を灯し走り出した片車輪を追って、篠田と西原も走り出した。むつたちが居なくなってから、そんなに時間も経ってないはずだ。簡単に追い付けると思った。だが、いくら走ってもむつたちの姿は見えてこなかった。
「うっ、わゎっ」
「篠田さんっ‼」
伸びてきた手が絡め取るように、篠田の身体に巻き付いていく。西原がその手を引き剥がそうとするが、触る事も出来ない。
そうやっているうちに、西原の身体にも腕が伸びてきた。逃れようと身体をよじるも、放してはくれず、すっと浮く感じがした。
「嘘だろ」




