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5話
むつが下のロビーに行くと、すでに全員揃っていた。また、ビリになってしまった。
「遅くなってすみません」
「さっきよりは顔色良さそうだね」
篠田はこれから片車輪を捕まえられるという事に、わくわくしているのか上機嫌だった。
「あ、はい…まぁ」
むつは疲れたように笑い、祐斗の肩をぽんっと叩いた。祐斗は、どいうい意味なのか分からず困惑気味だった。
「むつ、場所決めたぞ」
西原の声に振り向いた時に、冬四郎と目が合った。だが、むつは気付かないようなふりをして西原に視線を向けた。
「行こうか、けどお前バイク止めとけ。疲れてるだろうしな、何かあった時にまた面倒だ」
「酷いなぁ、何回もへましないって」
「むっちゃん、今日は西原さんの言う通りにして。俺の車に乗りなさい」
颯介に言われると反論出来ないのか、むつは黙って颯介の車に乗った。
「むつさん、もう大丈夫ですか?」
後部座席に乗り込んだ祐斗が、心配そうに身を乗り出してきた。むつは、笑って頷いた。




