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1話
少し離れた後ろから、むつと冬四郎を眺めていた山上と篠田は、むつがさっさと先に歩いていくのを見て、顔を見合わせた。
「仲直り失敗か?」
「みたいですね、宮前君がむつさんを車から守った件は良かったんですけど…って、喧嘩中だったんですか?」
「二ヶ月くらい前からな」
会話は聞こえないものの、冬四郎がむつをかばったり、二人の距離が近付いたあたりで、てっきり仲直り出来た物だと思っていた山上は、溜め息をついた。
「どっちが悪いんですか?」
「勿論、あのバカ男だ。あーっイライラする‼あれでも俺の後輩かよ」
「因みに何があったんですか?」
「みやがむつとの約束を破ったあげく放置」
「それは…宮前君が悪いですね。あの二人があんなんで、仕事の方とか諸々大丈夫なんですか?話が出来る状況でも無さそうですけど」
篠田にそう言われ、山上は腕を組んで唸った。