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5話
冬四郎はむつの足を持ち上げて作ったスペースに座り、自分の太ももの上にむつの足を下ろした。
流石に悪いと思ったのか、むつは足をどけると膝を抱えるようにして座り直した。
「当ててやろうか?…西原君と電話してたんだろ?」
「まぁ電話、うん。番号登録するか悩んでる所」
むつは両手で包み込むように、持っている携帯に目を向けている。
「番号知らなかったのか?」
「だいぶ昔に消しちゃってたから。別れてから連絡取る事もなかったしね」
冬四郎は何も言わずに、タバコに火をつけて、ぷかぷかと吸い始めた。
二人が黙って座っている間、洗濯機がごぅんごぅんと音を立てて回っているだけで、他に物音はしなかった。
むつは何となく居心地が悪いのか、視線を洗濯機に向けたり自動販売機に剥けたりしていたが、はぁっと溜め息をついた。
「しろーちゃんも洗濯?」
「いいや、お前を探しに来た。聞きたい事があったからな」
「何?」




