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5話
ホテルに戻るとむつは、濡れた服を颯介から受け取り、他の洗濯物と一緒に下にあるランドリーに向かった。
柔軟剤はないものの、洗剤はご自由にと置かれているので非常に助かる。
一応持ってきていたネットに下着と靴下を入れ、洗剤を気持ち多めに入れるとスイッチを入れた。そして、何号室の人間が使っているか分かるように、洗濯機の上に札をきちんとかけておいた。
部屋戻るのも億劫なむつは、誰も居ないからと置いてあるソファーに足を乗せて座った。
近くには灰皿も自動販売機もあり、部屋からタバコ持ってきたら良かったと思った。
むつはポケットから携帯を出して電源が入るかを試してみた。むつと一緒に海に落ちて、びしょ濡れになった携帯だ。だが、流石は防水機能付きなのかちゃんと電源が入った。
特に誰からの連絡もないだろう、と思っていたが知らない電話番号からの不在着信があった。ちょうど海に居たくらいの時間だ。
留守番電話が入っているわけでもなかったが、むつは暇だったのもありかけ直してみた。
『はい、西原』
「えっ‼」
すぐに出たのは西原だった。




