5話
西原がしばらく部屋を出ている間にむつは、鞄から片車輪の腕を取り出して机に置いた。保冷剤の効果か臭う事もなかった。
そして、買ってきた針金や網を広げていた。網の強度を調べようと、引っ張ってみたら、意外にもぷつんと切れたので、見なかった事にして元に戻した。
ピザと共にポテトやチキンなんかも注文したようで、沢山のものが届けられた。
「むつさん、どれにしますか?」
「Lサイズ4枚って…凄いね。Lサイズってこんな大きいんだ。ふーん…初めてだ」
むつが変に感心したように、箱に入ったピザを眺めているので、祐斗は適当に二切れ紙皿に乗せて、渡した。
「ありがとー」
むつは嬉しそうに紙皿を受け取ると、ふんふんっと鼻を鳴らして匂いを嗅いだりしていた。
「宮前さん、宮前さん」
祐斗は同じようにピザを二切れ乗せた皿を冬四郎に渡した。祐斗の視線に気付いていた冬四郎は、笑いながら礼を言った。
「むつさんて、出前とか取った事ない人なんですか?それともピザ初めての人ですか?」
「たぶん、あの様子じゃ両方じゃないかな…」
祐斗と冬四郎が、むつを見て遠巻きにこそこそ話してるのが聞こえたのか、西原がピザ片手にやってきた。
「大学入るまで外食とかした事なかったそうですよ。どんだけ箱入りだったんでしょうね」
「いや、うん…どうなんだろうな」
冬四郎はピザの口に入れつつ、篠田と颯介と共に楽しそうにしているむつを眺めていた。




