5話
急いで支度を整え、警察署に戻ると不機嫌そうな西原が椅子に座り待っていた。
「どういう事、でしょうね」
機嫌の悪さは、顔にも声にも出ている。何も言わずに出ていったあげくに、かなり待たされいるのだから仕方ない。
「ごめんなさい」
むつが疲れた様子で、それでも言い訳もせずに真っ先に頭を下げてきたので、ふいをつかれたのか、西原は目をぱちぱちさせていた。
「何があったんだ?」
「それは、これからわたし達も聞く所だよ…それより何か食べない?」
篠田は棚から出前表を取り出してきた。もう時間的には夕方だ。昼食も取らずだった事を今更になって思い出した。
「何にしよっか?食べながら話もしたいし、その網もやらなきゃですし」
「ピザとかどうですか?」
祐斗と西原も空腹を思い出したのか、篠田と一緒になって宅配ピザのメニューを見ている。
「むつさん、何かご要望ありますか?」
「コーラも頼んでください」
篠田は、にこにこしながら頷いた。
「ねぇ、しろーちゃん。あの人っていっつも笑顔なんだね」
「元々の顔だろ」
「なるほろね」
ここでもやはり、使いっぱしりになるのは西原のようで注文を済ませ紙コップを調達しに出ていった。