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4話
颯介は鳥居に掴まろうとした。泳ぎが不馴れそうな祐斗を、そこに留まらせようとしたからだ。だが、いくら手を伸ばしても目の前にあるはずの鳥居に届かない。
焦るあまりに距離を読み誤ったのかと思い、距離を縮めようと近付くも触れる事すら出来なかった。
先程むつと潜った時には、むつは鳥居に掴まったはずだったのに。
颯介は不思議に思いつつ、ゆるやかに足を動かして漂いながら辺りを伺う。すると横に居た祐斗が、肩をとんとんと叩いた。
何かを見付けたのかと思うと、本殿の方を指差していた。そして、息が苦しくなったのか、上を指差した。
祐斗と共に浮上すると、祐斗は荒く息をついている。つくつぐ運動系全般が苦手なのが分かる。




