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4話
そうと分かっていても、冬四郎は納得出来ないような顔をしていた。
「宮前さん、大丈夫ですよ。むつさんが溺れるわけないですし」
フォローにもなっていないし、祐斗に任せた、とは言い難いがここは任せるしかないと思い、冬四郎は引き下がった。
「祐斗君、行こう」
祐斗は颯介に急かされ、慌てて服を脱ぐとフィンとゴーグルをつけた。颯介は邪魔になるからか、シュノーケルを外した。
じゃぶじゃぶと水の中に入っていき、颯介に引きずられるようにして祐斗も潜っていった。
顔以外を水から出していなかったから気付かなかったが、かなり水温が下がっている気がした。冬四郎に向かって、邪魔になるような言い方をしたが、颯介自身の体力もかなり削られては居る。来て貰えば良かったかもしれないと思いもしたが、颯介はその考えを打ち消すように、潜っていった。
懐中電灯の光が届く範囲に鳥居が見えた。もう少しでむつとはぐれた場所になる。




