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4話
息を吐き出しながら颯介は浮上し、泳いで祐斗たちが居る所まで戻った。
「湯野さん‼むつさんは?」
颯介は呼吸が乱れていて返事が出来ないかわりに、首をふった。
「居なくなったって…波もないのに流されたって事ですか?」
「違うと思う」
冬四郎に手を引かれ、岸に上がった颯介は険しい顔のまま呼吸を整えようと、深呼吸を繰り返した。
「何があったんですか?」
冬四郎と篠田の表情も険しい。
「分かりません…祐斗君、一緒に来てくれるか?むっちゃんを探して欲しい」
「それなら俺が」
冬四郎が海に入って行こうとするのを颯介が、腕を掴んで止めた。振りほどこうにも、颯介の力が強く冬四郎にはなかなか出来なかった。
「駄目です、何が起きたのか分からない。海底には神社があった…おかしなくらいに綺麗な状態でね。何かいるのかもしれない。だから、ここに居てください」
邪魔にならないように居ろと言われている気がして、冬四郎はぎりっと奥歯を噛み締めた。
「祐斗君なら、何か居れば分かる。そうすれば対処方法も見付かるはず」




