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4話
もう1度潜ろうと、深呼吸をしていたむつは、ふいに颯介の方を見た。
「息をもたせるコツってある?」
「そうだねぇ…我慢?」
「ドM発言なの?」
二人はくすくす笑い合った。
「手引っ張ってあげようか?その方が深く潜れるんじゃないかな?」
颯介が手を差し出したので、むつは素直にその手に自分の手を重ねた。何度も水の中だというのに、颯介の手は温かい。
「お願いね」
「任せて。けど、そろそろ冷えてきた?手が冷たいし早めに上がらないとね」
むつは、こくりと頷いた。
そして、ゆっくり、大きく息を吸い込むと颯介に引かれるようにむつも潜った。颯介の言う通り、引っ張って貰った方が早く深く潜っていけた。
颯介に引っ張って貰っているおかげで、むつも颯介の言っていた鳥居を見る事が出来た。息もまだ苦しくはなく、少しは調べる事が出来そうだと思った。




