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4話
海の中は波がなく、流される事もなく泳ぎやすい。だが、光が差し込まないせいで真っ暗闇だった。
むつと颯介は底まで潜っていき、懐中電灯の光だけを頼りに底をよく見た。だが、思った以上に水深がありむつは先に1度浮上した。
むつは少しだけ顔を出しまま、泳ぎ進むと大きく息を吸い込み潜ろうとした所で、颯介も浮上してきた。
「息がもたないね」
「颯介さんでもそうなんだね。それなら、あたしなんて全然だよ」
颯介はむつの隣に並ぶように、ちゃぷちゃぷと泳いできた。
「この辺?」
「たぶん…何かあるならね」
むつと颯介は呼吸を整え、大きく息を吸い込むと再び潜った。フィンをつけているから潜るのに不便はない。




