4話
「びっくりしたのは俺たちだ」
冬四郎に少しきつめに言われ、むつはびくっと肩を震わせた。
「むっちゃん、大丈夫?」
颯介と祐斗、篠田もやってきて懐中電灯でむつを照した。ずぶ濡れのむつを見て颯介と祐斗は、やれやれといった顔だ。
「それより、階段があるって?」
「うん、ほら」
むつは座っている場所から少し先を指差した。颯介はライトをあててみた。はっきりとは見えないが、ゆらゆら揺れる水の中に段差のような物が見える。
「潜るんだね?」
「勿論」
ノースリーブを脱ごうとした所で、男四人はぱっと後ろを向いた。
「ちょっと真っ暗なんだけど」
むつが文句を言うと、冬四郎がしゃがみこんで懐中電灯を地面に置いた。むつは光が上に向くように、懐中電灯を立てた。そしてズボンも脱いだ。海水を吸って重たくなったズボンが、べしゃっと地面に落ちた。
「ねぇ、あたし1人で行くの?」
「いや、俺が行くよ…もぅそっち向いても良い?」
「は?うん…水着を下に着てるんだから後ろ向かなくても良くない?」
男たちは、ゆっくりと気まずそうにしつつ、むつの方を向いた。座っているものだと思っていた、むつは腰に手を当てて立っていた。




