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4話
二人に追い付いたむつは、髪の毛をかきあげ額の汗を手の甲で拭った。
「人間相手なら、ね…しろーちゃんが、居てくれたら心強い…けどね」
まだ息が上がっているのか、少しだけ途切れ途切れだった。
「確かにな」
冬四郎は頷いた。
「で、どうなの?」
走ってきたにも関わらず、すでに息も整え終わっているのかいつもと変わらない口調に戻っていた。
「嫌な感じが少ないっていうんですか?昨日よりも大丈夫な気がするんですよね。むつさんどうですか?」
「あたし?そうねぇ」
むつは懐中電灯で照らされていない奥の方に視線を向けていた。
「気にならないかな、って感じ。しろーちゃんは?」
「俺か?俺はそういうのは全然、涼しいなと思ってるくらいだな」
「そう。ってか、何で祐斗と一緒にこの中に入って行ったの?」
あっけらかんとし様子で冬四郎は
「涼しいし、洞窟って探検したくなるだろ?」
「子供か‼」




