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4話
岩場に着くと、むつはシュノーケリングセットと日本刀を置くと洞窟の入り口の前を通りすぎ、向こう側に何があるのかを確認しに行った。
「何かありますか?」
「ボートの貸出し場があるくらい」
むつは岩場を器用に飛びながら戻って来た。
「借りて沖に出る」
篠田と冬四郎は暢気に海を眺めている。すでに私服だし仕事気分ではないのだろう。だが、良い歳の男が二人で海を眺めているのは、いくら天気が良いとは言え少し寂しいものがある。
むつはパーカーを脱ぐとノースリーブ姿になり、シュノーケリングセットを手にした。
「ちょっと行ってくる」
むつが足早に行ってしまうのを祐斗と颯介は見送った。ノースリーブにカーゴパンツ姿のむつは、遊びに来てるにしては肌が白すぎた。
「むつ痩せたよな」
「おぉう」
いつの間にか隣に立っていた冬四郎に驚いた祐斗は、奇声をあげて少しだけ横に逃げた。
「あ…宮前さん。やっぱ、そう思います?腰に手回した時にも意外と細くて」




