4話
「西原さんが戻るまではどうしますか?」
「さぁ、どうしようか?それより気になってるんだけど。…ねぇみんなはどうしたの?揃いも揃って目の下に隈作ってるし…臭い」
むつは、臭いとだけ小声で言った。
「臭いっ‼臭いかなぁ?」
祐斗はTシャツの襟を引っ張って、すんすんと鼻を押し付けて臭いを嗅いだ。
「お酒くさーい」
「あぁ…朝方まで呑んでました。篠田さんの奢りで」
「そうなの?」
むつは冬四郎と篠田の方を見た。
「えぇ、私も臭いますか?」
篠田もシャツの臭いを嗅いでいた。むつは、頷くだけにしておいた。
「そっか、それでか」
むつはくすくす笑った。そして、ふいに真顔に戻ると冬四郎に近付いた。
「海に出る霊の事、何か詳しく聞いてたりしないの?」
「漁船が消えたり、海水浴客が消えるっていうのかし聞いてない」
むつと颯介は、そっと目を合わせた。やはり昨日まで霧が出た後に荷物が残っていたのは、消えた人達ので間違いないだろう。
「目撃情報は?」
「何もないな」
「本当に?嘘じゃない?」
冬四郎は溜め息をついた。
「嘘じゃない」
むつの目を真っ直ぐにみて冬四郎は言った。しばらく、むつもじっと冬四郎を見ていたが嘘をついているわけじゃないと判断したのか、それ以上は何も言わなかった。




