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4話
むつはまた癖なのか、眼鏡を押し上げるような仕草をして、手を止め溜め息をつくとファイルから出した資料を机に広げた。
「死体の写真はっと」
「お前、バラバラにすんなよ」
資料を広げて検死報告の書かれているものと、その被害者の写真を探していく。
「これだな」
冬四郎がつまみ上げた写真をむつは受け取ると、じっと見つめた。
「やっぱり、これ見て」
みんなにも見えるように写真を机に置いた。
「何が…やっぱりなんですか?」
しばらく写真を見ていた篠田が、さっぱりわからないといった顔をしている。
「そっか」
何かに気付いたのか、颯介はふんふんと頷いている。
「関係ないかもしれないね」
「でしょ?」
むつと颯介は頷き合っているが、他の四人はさっぱりといった顔をしている。四人を代表するように、祐斗が手を上げた。
「説明をお願いします」
「ここ」
むつは指をさした。少しだけ伸ばした爪はネイルなんかはされていないが、綺麗で艶っとしていた。
「手の痕がないんですよね」




