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4話
「あのさ、あんましまじまじと顔見ないでくれる?」
上目遣いに冬四郎を見て睨んだ。
「お前、結構目でかいよな…意外と整った顔だし、コンタクトのが良いんじゃ」
むつは冬四郎が喋ってる途中にも関わらず額を叩いた。ぱちんといい音がした。だが、音のわりには痛くなかったようで、冬四郎は痛がる素振りも見せなかった。
「そうですよ、絶対にコンタクトの方が良いよ。こんなに可愛いんだから」
篠田がにこにこしながら言った。むつは、何とも言えないような顔をして少しだけ耳を赤くしていた。
「むっちゃんは最近、手が早いね」
「誤解されそうな言い方やめて」
そんな仕事を忘れたかのような、のんびりとした会話をしているとドアが開いた。五人の視線が一斉に西原に集まった。
西原は目をパチパチさせて、ファイルを手に部屋に入ってきた。
「どう、したんですか?」
「何でもない。みんなにいじめられてた」
むつは手を出して西原からファイルを受け取った。
「それは仕方ないだろ。昨日、迷惑かけたんだしな」
西原は笑いつつ、空いている椅子に座った。
 




