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4話
「ってか、むっちゃん目腫れてる?」
颯介にそう指摘されたむつは、恥ずかしそうに伏し目がちに顔を下げた。
「だから、あんま顔見ないで。アイライン引いたんだけど誤魔化しきれなかった」
颯介と祐斗が面白がって、むつの顔を見ようと覗きこんだりすると、祐斗だけがむつからデコピンを貰っていた。
「そんな事より眼鏡がない」
「昨日、どっかで落としたんじゃないか?」
冬四郎はつまらなそうに頬杖をついていた。むつが顔を背けたり、上げない理由が別ったは良いが、何となく納得出来なかった。
「そうかなぁ…って事は仕事終わるまで眼鏡なしか」
「お前、目悪かったっけ?」
冬四郎は少しだけ身を乗り出して、むつの顔を見た。むつは固まったように動かなくなった。
「ん、まぁ…ね」
曖昧な答えに冬四郎は納得しなかったが、ふーんとだけ言った。




