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4話
翌朝、むつはゆっくりと目を覚ました。
ふかりとした布団が肌に触れていて、くすぐったいような気もしたが、温かく気持ち良かった。カーテンから日差しがさしていた。もうだいぶ明るい時間のようだった。
普段のむつなら、のろのろと布団から出て着替えたりするのだが、今日は布団から出ようともしなかった。
どこかで携帯の鳴る音が微かに聞こえた。だが、むつはぼんやりとしたまま、また目を閉じた。
次に目を覚ました時、携帯が鳴っている事に気付いたむつは、部屋の中を見回して、テーブルの上にある携帯を手に取った。
冬四郎からの電話だった。
「はい」
『お、やっと出た…寝起きか?』
「うん…ごめん、今起きた」
『そっか、昨日の話とこれからの事も話し合いたいし、出てこれるか?』
むつには冬四郎の言っている事が分からなかったが、テーブルの上の血のついたジャケットを見ているうちに、思い出してきた。それと同時にしっかりと目が覚めてきた。




