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3話
「むっちゃん?」
「今日はもぅごめん。本当に、その…明日」
むつは布団に顔を埋めたまま、顔をあげようともしなかった。
「ごめんなさい…出てって」
言葉尻は震えていた。むつは、膝を抱え込むように座ったまま顔も上げなかった。
「分かった、おやすみ」
「おやすみなさーい、また明日」
颯介と祐斗は余計な事は何も言わずに先に出ていった。篠田は何か言いたそうに口を開けたが、結局はおやすみと言うだけで出ていった。
「むつ?」
冬四郎は心配そうにむつの顔を覗き込もうとしたが、伏せられたまま背けられた。むつの手が西原の服の裾を掴んでいるのに冬四郎は気付いた。
「ごめん、しろーちゃん」
「いや、いい。ゆっくり休めよ」
むつは、こくんっと頷いた。




