3話
太い腕を掴みあげた篠田は、しばらくそのまま固まっていた。そして、ゆっくりと颯介と祐斗に視線の移した。
「どういう事かな?」
「ご説明しないと、いけませんね」
西原は黙ったままそっと篠田の手から片車輪から切り落とした腕を取るとジャケットに包み直した。もう血は乾いていて、手が汚れる事はなかった。
「玉奥がこんな状態ですので、私たちが見た所だけですが。車輪…片車輪というんですが、篠田さんも宮前さんもご覧になったと思いますが、顔も腕もありまして。その腕に玉奥が捕らえられていて、逃れようと玉奥が切り落としたのが、そのテーブルにある腕です」
颯介の簡潔な説明を聞き、篠田は頷いた。
「で、それをどうするんですか?」
「こちらで保管します。玉奥が起きてからまた話をしてどうするか決めますが」
「ここに、置いておくと?」
「えぇ。篠田さん、欲しいですか?」
颯介に部屋に持ち帰るか、と聞かれ流石の篠田も嫌そうな顔をして首を振った。
「それで、片車輪はどう対処して頂けるんですか?」
「先程、現れた時に人が大勢居たにも関わらず誰一人として襲われていません。危害を加える気がないのなら大人しくするよう何とかします。…が、その足を引きちぎられた方が、片車輪の犠牲者ならばまた…」




