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3話
祐斗が何かしたってわけではなかったが、何故か恥ずかしい気持ちになりつつも祐斗にコンビニの袋を手に部屋のなかには戻っていった。
ホテルのシングルルームに男が5人もいると、かなりむさ苦しいうえに狭い。颯介もそう思ってるのか、エアコンの温度を少しだけ下げていた。
「むつはまだ起きないですか?」
西原は祐斗の持ったままのコンビニの袋に手を入れて、飲み物を出した。
「どれにします?好きなの選んでくださいね」
両手に飲み物を持ち、男たちに渡す姿は運動部のマネージャーの様だった。飲み物を受け取り口をつけてから、篠田はテーブルの上にある物に気付いた。
「あれは?」
「見ますか?」
颯介は西原のジャケットごと持ち上げて、篠田に渡した。血がついているジャケットを不思議そうに見ながら、篠田は冬四郎みたいに包みを開くではなく、手を入れて中身を取り出したのだった。
中身を知っている他の四人は、ぎょっとした様な顔をし止めようとしたが、間に合わなかった。




