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3話
冬四郎は、がりがりと頭をかいて窓際に行くとタバコに火をつけた。古いホテルなだけあって、少しだが窓も開けられるようになっていた。
「そんな迷惑だなんて事ないですよ。むつさんが突っ込んで行くから分かる事が多いんで、それに…むつさんそこまで無茶しないですよ?」
祐斗は言いながら、少しずつ首を傾げていった。無茶をしないかどうかはよく分からないが、それで本当に分かる事があるのも事実だった。
今回も恐らくそうだろう。むつが、捕まったおかげで戦利品というか資料というか、得られる物があったはずだ。
「迷惑になってないなら、良いか」
冬四郎は疲れたように笑った。
「心配しすぎなんじゃないですか?うちのむつは優秀ですし、もう子供でもないですよ」
腕組をして壁に寄りかかっていた颯介が、冬四郎です見下すかのように少しだけ顎をあげていた。
冬四郎の左頬がぴくっと痙攣した。
祐斗は険悪な雰囲気におどおどしつつも、成り行きを見守るしかなかった。颯介はおそらく、仕事といって冬四郎がむつの側に居るのが邪魔だと思っているのだろう、と祐斗は思っていた。




