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3話
西原と篠田が出ていくと、三人はむつが寝ているベッドの側に寄った。
「怪我してるんですか?」
むつの顔や髪の毛、服に付着してる血をみて、冬四郎が二人に聞いた。
「それは…たぶん、これです」
祐斗は両手で持っていた西原のジャケットを冬四郎に渡した。冬四郎はずっしりと重たいジャケットをゆっくり広げ、手を止めた。
「な、どうしたんだ、これ‼」
思わず大きな声が出ると、颯介と祐斗が揃って人差し指を口にあてて、静かにするようにいった。
「すまない…これは?」
冬四郎はちらっとベッドを見て、一呼吸おくとジャケットから取り出した切り落とされた腕を持ち上げた。太いだけあってか、ずっしりと重たい。
「むつさんが切り落とした腕です」
「腕は、分かる。切断されたのも分かる。そうじゃなくて、誰ので何で、これがあるのかを説明して貰えますか?」
落ち着いたのか、いつもの静かな冬四郎の声に戻っていた。
ジャケットに包み直して、テーブルにあった紙袋が空なのを確認するとそれを破いて敷くとその上に血に濡れたジャケットを置いた。




