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3話
颯介に箱を渡すと、むつは懐中電灯を3本取り出してそれぞれに持たせた。
「防水のやつなんだって」
「…これを用意する為に居なかったのか?」
「そうそう、地元民で警官の西原先輩にお願いしてね」
その西原は、むつたちの後ろを歩いている。むつから粗方の話を聞いているのか、何も口出しせず黙っている。
「あ、むつさんこれ」
祐斗は手にしていた日本刀をむつに返した。
「ありがと」
受け取ると、その代わりと言わんばかりにむつは人形に切ってある紙をそっと祐斗に持たせた。
「じゃあ、配置につきましょうかね」
むつは、うっすらと笑みを浮かべた。ホテルの駐車場の街灯がむつのその笑顔を、ほんのりと照らしている。




