3話
篠田のがっかりしたような顔が見えたが、むつは気にしていない様子だった。西原も篠田の様子を気にかける事なく、地図を広げた。誰がどこの道を張るのかを書いてあった。
「とりあえず、この配置で。現れたら、進行方向を報告して見失わない距離でつける…で良いな?」
西原がむつに確認をとるように見ると、
「もし、追えない、襲われるって事態になったらすぐに逃げる事。それから追ってる最中、気になる事があればすぐに連絡を」
後をつぐようにむつが言った。
「と、いう訳で行きましょうかね…颯介さんちょっと」
トランシーバーを手に立ち上がり、駐車場に向かう篠田と冬四郎の後ろで、むつはダイビングセットの入った箱を持つと、祐斗を引っ張り颯介のそばによった。
「これ、海用。積んどいて」
颯介と祐斗は箱の中を見た。むつが手を突っ込み、ダイビングセットの下にあるものを見せた。大きな懐中電灯だった。
「動きがあるかもしれないから、入らずともライトをあてて確認くらいは」
「分かった」
「張る道は海沿いですもんね…けど、むつさんあの岩場に近い場所待機ですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫くないかもだから、颯介さんも祐斗もわりかし近くにしてあるじゃん」
頼っているという事を遠回しに言われた祐斗は、真剣な顔で頷いた。だが、少しだけ目元が嬉しそうに緩んでいる。




