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3話
むつは含み笑いをしたまま、どうしよっかなーっと陽気な声を出していた。
「むつさん?」
「いやもぅ、手の打ちようなくね?」
むつは、くっくっくと肩を揺らして笑っていた。そんな様子を見て、颯介と祐斗は呆気に取られていた。
「むっちゃんが壊れた」
颯介も苦笑いを浮かべるしかなかった。
「祐斗、何か飲み物買ってきて」
むつは、ズボンのポケットに手を突っ込み小銭を出すと祐斗に握らせた。
「えっ‼この状況で?」
「だって、これじゃ何も出来ないよ。準備不足すぎて、様子見とこ。颯介さんと自分のも忘れないようにね」
そう言いむつは、すとんっと座った。困ったように祐斗は、颯介を見たが颯介も困ったような顔をしていたが、頷いた。祐斗は少し温かい小銭を握りしめて、海の家の近くにある自動販売機に向かっていった。




