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3話
「へえぇ‼知らなかった‼」
祐斗が心底関心しているような様子だったので、むつも颯介も少しだけ嬉しそうだった。
「って事は、俺らの仕事の時間なんですね」
「そゆ事よ…逃したけど」
祐斗が真面目な顔をして言うと、むつも表情を引き締めて言った。その横顔は悔しそうだった。
「まだ夜があるよ…っても夜は車輪を見張らないといけないか」
「そっちは、すぐ何とかなるでしょ…って言いたいけどな」
「何かむっちゃん珍しく、微妙そうにしてるよね。何か引っ掛かる?」
むつは唇を尖らせて、眉間にシワを寄せた。
「この狭い範囲で同時発生なのがね」
「確かに、そこは変だけど」
「夏だからじゃないですか?霊が活発になって、それにつられたとか」
「まともな事言うね。影響を受けた可能性は大いにあるし、2件同時進行だから気を付けないとね」
三人は浜辺を出て、防波堤の上から黒っぽくなりつつある海を眺めた。
「うーん、仕事じゃなきゃこのあと缶ビール飲みながら花火だよね」
「夜のバーベキューも良くないですか?」
 




