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そうしてお姫様は、

一目惚れは世界を救う。

作者: 東亭和子
掲載日:2017/03/04

 世界は孤独に満ちている。

 誰も私を愛さないし、見つめない。

 私は存在しないのと同じだ。

 誰よりも強い力を持つが故、私は嫌われた。

 避けられた。

 閉じ込められた。

 この世界の端の塔で、一人寂しく死んでいくのだ。

 ずっと、そうだと思っていた。

 一人の男(勇者)が来るまでは……


「あれ?ここに凶悪な魔術師がいると聞いたんだけど?」

「…目の前にいるだろう?

 私が凶悪な魔術師だ」

「は?君が?嘘でしょ?」

「嘘をついてどうする?

 こんな寂れた塔に住んでいるのは私だけだ」

 じっと男を見つめ、私は告げた。

 男はまだ信じられないようだった。

「…本当に?」

「本当だ。信じないのであれば、信じるような力を見せてみようか?」

 男が恐れるほどの力をふるい、塔の壁を吹き飛ばす。

 これで男は恐ろしくなって逃げるだろう。

 今までの男達のように。


「…すっげぇ!!!!」

 吹き飛んだ壁を輝く瞳で見つめて男は叫んだ。

「超かっけぇ!こんなに可愛いのに、こんなに強いなんて反則だ!」

 意味不明なことを男は叫ぶといきなり私の両手を握りしめた。

 思わず眉をひそめて男を睨んだ。

「お前、私が恐ろしくないのか?」

「全然!むしろ、興味津々なんだけど。

 こんなに強い魔術師なんて見たことねぇよ」

 ぎゅっと握る手を振り払うことも出来ず、私はただただ戸惑った。

「俺、君のこと好きになっちゃった。

 だから俺もここに住んでもいい?」

 ていうか、むしろ住むけど。と男はニヤリと笑う。

「……は?」

 理解不能の言葉に呆然とする。

「とりあえず、名前教えて?」

 

 いきなり押しかけてきた男によって、私の孤独は破られる。

 私は愛される喜びを知り、そして世界の美しさを知った。

 もう、世界は孤独ではなかった。


もう孤独には戻れない。

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