黒猫の使い魔
俺は知らなかったのだが、魔術師の家系の中で、古くからあるところでは、ある伝統が残っているそうだ。
使い魔は魔術の時に、魔力の錬成の度合いを調製するための存在だとされている。
そして、黒い猫が、数ある動物の使い魔の中でベストだとされている。
これは、魔術師の中では有名な話が発端のようだ。
随分と昔のこと、今から数百年も昔。
ヨーロッパの奥地で魔女が魔女薬を作っていた。
この魔女薬は、今で言うところの惚れ薬らしい。
しかし、どうもうまくいかない。
そこに通りかかったのは、一匹の黒猫。
それもメスだ。
魔術を行うためには、魔術粒子と呼ばれる素粒子を組み合わせることになる。
当時はわからなかったことであるし、今では宝石類やさらに高度に調整された工業製品がある。
だが、この時には、何を思ったのか、この猫を媒体として魔術粒子を練った。
すると、最高品質の惚れ薬ができたそうだ。
これ以来、猫、それもメスの黒猫が使い魔として使われるようになったそうだ。
ちなみに、オスでもいいそうだが、やはりメスの方がいいらしい。