第5話。フラッシュバック
家までつけられたのではないかと不安になりました。
時計を見ると午前2時でした。人が寝静まっているこの時間帯は不気味なほど静かです。
私は冷えた烏龍茶を飲んで気持ちを落ち着かせました。
その時!玄関のドアがガサガサ!と音がしたのです!
この時間に玄関のドアから物音が聞こえたときの恐怖、緊張感、分かりますでしょうか?それは半端ないです。ガタン!と再び音がしました。
私は恐る恐るドアに近づいてみました。
その時、私はピッキングされた日のことを思い出しました。あの日、私は家に居たのですがドアのノブがガチャガチャと回されていたのです。あれはこわかったです。ドアに近寄ってみると2人の男の声がしました。
「おかしいな!このドア、開かねえぞ!」
「早く開けろ!仕事にならねぇだろうが!」
「だけど、もしこの家の住人がいたらどうする?」
「俺が調べたところ、ここの住人は若い女だ。いい身体してるぞ。もし居たら、そうだな…へへへ。ついでだからやっちまおうか。」
「やった!それは名案だ。どうせ終わった人生だ、楽しまなくちゃな!」
「そういうことだ!ひゃっほー!!」
「女、いるといいなぁ。負け組の俺たちはすっかりご無沙汰だからな!へへへへ!」
トントン、トントン。
「おーい、ここを開けなさーい。わるーい狼さんたちが遊びにきたよーん。いるんでしょお?電気のメーターが動いてるよーん。」
「お前、なかなか面白いこと言うねぇ!お願いだよぉ、ここを開けてよぉ!開けろって言ってんだろうが!!」
ドスン!!すごい音がした。どうやら男たちはドアを蹴り飛ばしたようだ。
「わっはっはっ!早く出てこい!いるんだろぉ?!」
そんな会話が聞こえたのです。
私はドアスコープを気づかれないように震えながら覗きました。男2人が針のようなもので鍵を開けようとしていました。
すると鍵が徐々に回り始めていたのです!あの時ほど緊張したことはありませんでした。私は鍵があかないように必死で手でおさえました。
ガチャ!ガチャガチャガチャガチャ!
もう少しで鍵が開いてしまいそうでした。
1分が永遠のような長さに感じました。
「ちくしょう!開かねえ!なんで開かねえんだ!俺はプロだぞ!」
「ちっ!仕方ない!長居は無用だ!別の家に行くぞ!仕事だ!仕事だ!」
奴らは去って行きました。