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魔法と剣とファンタジーと  作者: 華夏オリト
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『強くなる』


ギョロ目の赤い人(人じゃないけど!)は頭に2本の角を生やして筋肉隆々もいいとこの上半身を恥ずかしげもなく出していた。

あ、下はちゃんと履いてるよ。髪の毛はないけど。


私は確信した。森に出た時に一直線にこっちに向かってくる何かの正体を。

でもそれが何者かであるかわかれば怖いものなんてない。


赤い人は申し訳なさそうに眉を下げると(て眉ないけど)私に謝ってきた。


『どうやらオデ、は、驚かしてしまったようダ。』


なんかいい人だ。人じゃ・・もういいや。


『こっちが勝手に逃げただけだから・・・こっちこそごめんなさい。』


大きな体なのに、申し訳ないとばかりに体を縮めた様はかわいそうに見えるくらいだ。



『ところで、ガルダはどうしたのですか?』


思い出したように声を上げたドラゴンはモンドなるいい人に話しかけた。


『ガルダは、怪我。少し遅れるど言っでいた。』


『・・ふむ、怪我ですか。・・・まぁいつものことですのでいいでしょう。』


『そデよりも、この人間。おデ達の言葉、できる。』


『ふふ、面白いでしょう?』


2つの視線が私に集まる。


『今回呼んだのはあることをお願いをしたいと思いまして。』


改めて椅子に腰かけたドラゴンにいい人も座り話始めた。

特に興味のない私はドラゴンの語尾だけをぼんやり追った。

です。でしょうか。ですね・・・

このドラゴンやけに言葉が丁寧だなぁ、と。



『そういうことですので、モンド。明日からよろしくお願いしますね。

私も協力はしますが忙しい身なので――――。』


話が終わったみたいだ。

ドラゴンが立ったので私もつられて立つ。


『では君もそのように心がけてください。

 言わずとも君自身のことなのですからね。』


『うん・・・・・・・?』


えっと、なんのお話でした?聞いてなかったって言ったら、ダメ・・・?




―――余談だけど、この世界で見るもののそのほとんどが私にとって

  物珍しいものばかりだ。


この森もドラゴンもモンドもそう。

だけど、別にドラゴンが怖いとか、モンドの赤い顔が醜いだとか、そんなこと最初から思ってもなかった。それがあたかも普通の光景みたいに。


たとえば、日本人の記憶の中の猫とか犬とか、車とか高層ビルだとか、かわいいとか凄いなぁ、大きいなぁって思っても、無暗やたらに怖がったりしなでしょ。。ちゃんとそのものに接した上で、怖いもの、かわいいものって判断すると思うんだ。


それと同じなんだと思う。ドラゴンは私を助けてくれたし、モンドは優しい性格をしてるんだって、話したり接したりしててわかる。


見た目だけで判断するのは、私はよくないって、思う。


はっきり見えなかったりわからないものはちょっと怖かったりもするけどね。


・・・まぁ、それを言ったら空から落ちてきた私のほうこそ得体のしれない何かなのかも。だからって悩んだって答えはでないわけで、これからのことを心配したほうが良いに決まってる。



ということで、わからなくていつまでも悶々としててもしょうがないから

私はドラゴンに白状することにした。


その日の夜。夕食時。

私の手を(逃げないように)握ったドラゴンは目を閉じていたけど

私の質問でその金色の瞳をのぞかせる。

いつもは無表情のドラゴンだが今はなんでも許してもらえそうな気がした。

そのくらいこの場の空気がリラックスしていたから。


『・・・ふむ、まぁいいでしょう。ではもう一度説明しましょう。』


『ありがとう、ございま・す・・』


ドラゴンは簡潔に私に説明してくれた。

要は私がこの森で自由に動き回れるようになるには強くならなくちゃいけないってことだった。物理的にも精神的にも。


今いるこの家と、ドラゴンの周辺はドラゴンというオリジンが魔力で守っているのだそうだ。だからそこは安全。

けどそれ以外は別。朝感じた急に森が変わったように感じたのは私がその範囲から出たことによる影響だったのだ。


本来、この森は私が思う以上に怖い場所だと教えてくれた。

ドラゴンの友達?であるオーガはもう私を襲うことはないが、森にはより凶悪で

残忍な、人間をゴミ以下だと考えている種族が多々いるそうだ。



・・・でも考えてもみてよ。


私は服をつままれて簡単に持ち上げられてしまうような子猫だ。

なんにもできない人間の、しかも子供なんだ。

強くなれって言われてもたかが知れてる。


どうしろというのだ。


『だからこそ、肉体を鍛えるのにモンド。精神を鍛えるのにガルダをつけるのですよ。あれらは私も認める者たちです。中途半端に強くしたりしないので安心を。』


安心?むしろ不安しかでてこないよね?

このドラゴンはこの私にどのくらいの強さを求めてるんだよ。

人間超えちゃうくらい強くなれってこと?


『ですが、もし・・・』


『もし・・・?』


『君をこれから一生、死ぬまでこの部屋に閉じ込めてもいいのなら話は別ですが・・・』


我はそちらの方が都合がいいのも確かです。なんて言ってのけるもんだから


『わかっ・・た!やる!

オリジンが目ン玉飛び出るくらい強くなってやるから!』


ドラゴンに拾われて2日目にして敬語もすっとんで高々と宣言した私であった。



次の日には撤回したい気分に苛まれるとしても。


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