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半分チートな絶対音域  作者: 逢沢 雪菜
二章 人生は巻き込まれる為に有る
7/21

◆七話

 女神が出て来た夢から覚めると、もうとっくに朝になっていた。


「おはよーございまーす……」


 厨房にひょこっと顔を出して恐る恐る言った。

 中では体格の良い男の人が料理をしている。リディアのお父さんだ。

 料理している手を止めて、こっちを見て言った。


「おぅ、おはよう、ヒヨリちゃん。食事の用意は出来てるから、食べてくれな」

「ありがとうございますっ。いただきます」


 笑顔でそう答えて、厨房の隣に有る食堂に行く。

 食堂と言っても、家庭のリビングと変わらない広さの部屋だ。


 昨日あの後聞いた事によると、リディアのお父さんは宿屋をやっているらしい。

 故に。リディアのほぼ独断により、私はその宿にお世話になる事になってしまったのです。

 正直、そこまで頭が回っていなかった私は、その話を聞いた時にかなり喜んだ。


「うわぁ……」


 昨日の夕方からここにお世話になり始めた為、夕飯も当然ここでいただいたのだが、昨日の夕飯もこの朝食もとてつもなく豪華で圧倒される。何となく食べてしまうのが勿体なく感じてしまう貧乏性の私。食べないのは逆に勿体ないのだが。


「いただきます」


 軽く手を合わせてから、私は朝食に手をかけた。

 勿論見た目に劣らずめちゃめちゃ美味しかった。


 それにしても、と一時的に食事の手を止めて少しだけ食堂を見渡す。

 この村の建物はどれもレトロというかシックというか。RPGに出てきそうで、具体的に言えば聖○伝説の家みたいなのよね。ほんわかした木造建築。

 思い返せば、私はまだこの世界が何て名前なのか知らなかった。そもそも世界名有るのかな。


 私が豪華すぎる朝食を食べ終わると同時。宿の玄関がノックされた。


 食堂から玄関まではそんなに離れていない為、対応する為に出たリディアのお父さんと来訪者が和気あいあいと何か会話をしているというのが分かった。会話の内容までは分からなかったが、声で相手が男の人というのは分かる。


 私に会話を盗み聞きする趣味は無いし、邪魔になるのは悪いと思い、立ち上がろうとしたその時、リディアのお父さんに突然呼び出された。

 危うく転ぶ所だった。


「君に用事らしいんだ」

「私ですか?」


 一体私なんかに誰がどのような用事なのだろう。


 疑問に思いながら玄関へ行くと、そこに居たのは鎧でその身を覆った、見た目から人懐こそうな騎士が一人。雰囲気が昨日のフォルトとは180度違う。むしろツァンドに近いかな。


「初めまして。貴女が“シロカイ・ヒヨリ”様ですね?」

「人の名を聞く前に自らが名乗るというのが礼儀だと思うのですが」


 そう言うと、彼ははっとした表情になりこう名乗った。


「失礼しました。自分は王女の親衛部隊隊長で、フレッド・シアレスと申します。」

「王女親衛部隊隊長!?」


 思わず声をあげた。

 親衛部隊ってつまりは護衛部隊みたいなのでしょ。しかも王女様のでしょ。その隊長なんでしょ。何たってそんなお偉い人が私の元へ?


「王女が貴女をお呼びなのです。多くはお話になられませんでしたが、『渡さなくてはならない物が有る』と」


 うーむ。フレッドさんには悪いけどますます意味分からん。

 とりあえず断る理由が無い事だけは確かだ。


「行くんならリディアも連れて行くといい」


 会話の途中、横に居たリディアのお父さんが言った。


「でも、いいんですか? 本人の承諾無く……」

「アイツが自分でヒヨリちゃんが出る時には自分も付いてくからって言ってたんだよ」


 リディアめ。私を何回感動させれば気が済むのかな君は。


「支度が済みましたらお呼びください。外で待っています」


 フレッドはそう言って外に出た。



 っつかここって王制だったのか。


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