表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半分チートな絶対音域  作者: 逢沢 雪菜
一章 let's 異世界生活!!
3/21

◆三話

 えっと……これは、俗に言う“修羅場”ですか? ちょっと違うか。


 現状を説明しましょう。

 私が降り立った村と思われる集落の皆さんが、四方八方から驚きの目で私を凝視しています。

 以上、説明終了。


 私の説明力不足を呪うばかりですね、ハイ。だって国語好きじゃなかったもん。

 とりあえず、今するべきは弁解だろう。そう思って口を開いたのだが――


「あーっと…私、怪しい者では……」

「勇者様!?」


 村人(?)の中の一人が、私の言葉を遮って言った。


 ゆうしゃさま?


 その言葉を合図にしたかのように、人々がざわざわと騒ぎ始める。

 皆口を揃えて“伝説の勇者様が現れた”だの“有彩色の者が来た”だの言っている。


 私を囲む人々は皆、無彩色の髪。

 白、灰色、黒。濃度は違えど、いずれかの色をしていて、私のような青はおろか、茶髪すら居ない。


 周りの態度に少し不機嫌になっていると、服の裾を引っ張られる感触を感じた。

 振り向くと、十歳前後位の歳の少年が、私の制服の裾を引っ張っていた。


「ねぇ、ボール投げしようぜ!!」

「リディア!! 勇者様になんて事を言うの!!」


 少年の母親と思われる人物が、少年――リディアを叱りつけた。

 私は、その人の言葉に思わずカチンときた。


「あの、私、勇者じゃないです」


 人々がまたしても揃って驚いた顔をする。驚きすぎだろ、皆さん。

 まぁ構わず話を続けますが。


「ここの世界の伝説で、私みたいな容姿が勇者ってされてても、私は勇者じゃない。勇者って、世界を救うような何かをしたから勇者って呼ばれるんでしょう? だから、私は勇者じゃないわ。私、この世界に来てから何もしてないもの。私としては、リディアの態度の方がよっぽど正しいと思う。違いますか?」


 騒いでいた人々が静まり返る。


 今の隙に!!


「よしっ、行くよリディア!!」

「おうッ!!」



 私はリディアと一緒に駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ