表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半分チートな絶対音域  作者: 逢沢 雪菜
三章 異世界取扱説明書
20/21

◆二十話

「唐突に思い出したんだけどさ……」

「ん?」

「あの他人の事これっぽっちも考えない横暴馬鹿女神って、ここじゃどういう印象なのさ?」


 言い終わるとほぼ同時に、ツァンドさんが盛大に吹き出した。


「…………」

「あははっ、ごめんごめん。いやー、言うねぇ。“創世の女神”の事を“横暴馬鹿女神”と呼ぶとはね。いやはや、流石と言うべきかな?」

「そんなに笑われるような事言った?」


 リディアにそう尋ねると、彼は無言で一度だけ頷いた。


「ツァンドが笑い上戸なのも有るだろうがな」


 とフォルトが付け加えた。当のツァンドさんはというと、未だに笑いは止まらないらしく、それどころかテーブルに突っ伏してぴくぴくと震えている。そんなに笑うなと言いたい。


 ツァンドの隣に座っているフォルトが、いい加減痺れを切らしたのか、大きく一つ溜息を吐き、ツァンドを一睨みしてから言った。


「お前が言ってるのは、女神・クレフの事だろう?」

「らしーね。前にアクリアが言ってたよ。何? アイツ、そんなに偉いの?」

「お前の基準でどうかは分からんが、この世を創ったとされているんだ。それなりだろう」

「あぁ、未だに笑ってる誰かさんがさっき言ってた“創世の女神”ってヤツね」


 こくりとフォルトが頷く。ツァンドは私の言葉通りまだ笑っている。一体いつまで笑っているつもりなんだ、この人。私の中のツァンドさんの株がだんだん下がってるっちゅうに。


「時々……至極稀に地上にもその姿を現すらしいが、その時には“クレフ・クレシュエンド”を名乗ると聞いている」

「アキエスの源流だもんねー。“クレシュエンド”名乗って当然か」

「だな。他にはもう大丈夫か?」


 大丈夫、というのは質問もな事だろうと思った私は、次にいつこの人達に会えるか分からない為、聞けるだけ聞いておこうとも思った。聞ける機会を逃してしまってはきっと聞ける事も聞けなくなるのだから。故に私は脳をフル回転させて、何か他に聞きたい事――聞くべき事が無かったかを思い出す。


「あ、そうだ!」


 そうして思い出した事柄が一つ。これ以外は思い出せない為、とりあえず現時点での最後の質問。



 使い物にならなくなったツァンドさんに代わってすっかり進行役になってしまったフォルトへと、私はその疑問を投げかけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ