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半分チートな絶対音域  作者: 逢沢 雪菜
三章 異世界取扱説明書
18/21

◆十八話

「さて、次は種族って言ったね」


 ツァンドさんは次に話をこう切り出した。


「とりあえず三つは居るってのは分かりましたけど……」

「うん、正しくは大きく分けて全部で五種。さっき話題に出たのの他に、あと二種居るんだ」


 全五種の種族。どの程度の括りにするかにもよるが、私の考え方にしてみれば元の世界よりも多い。


「まずは《ビーンギス》。これは僕やリディア君、ヒヨリちゃんの種族だね」

「つまりは、《人間》って事?」

「定義としては基本的に魔力や特徴的なくらいの寿命が無い獣以外の生き物の事だけど」

「じゃあ一緒だ」


 当たり前だが、この世界にも《人間》という概念というか種族が有った事に私は安堵していた。


「あと、《ヒューマノイド》、《エルフィス》…要は《エルフ》だね。と、《ツルース》、《アキエス》。《ヒューマノイド》は、別称の《(くろがね)の者達》って言葉が付いてるんだけど、そこからも分かる通り、体の一部、もしくは全てが機械で出来ている者達だ」

「なんかアンドロイドみたい……」

「響きも似ているみたいだしね。それに近いのかもしれない」

「一部ってんなら小説とかでしか出てこなかったけど」


 SNシリーズとかだとほぼ確実に出るもんね、そういう奴ら。


「《エルフ》こと《エルフィス》は、高い知能と長い寿命が特徴の種族だ。《アキエス》を除く種族の中で、最も数が少ない」

「なんでアキエスを除外するの?」

「後で説明するけど、アキエスだけは例外的に数が少なすぎるんだ」

「へー」


 後で説明してもらえるのであれば仕方あるまい。今は黙って続きを聞こう。


「《ツルース》は、簡単にいえば獣。あとは変異とか起こしたビーンギスの狼人とか猫人とか。ほとんどはここに分類されるから、ビーンギスに次いで多い」


 なんか本当に先述のシリーズみたいだ。幻獣界かよ。ヒューマノイドとか思いっきり機界じゃん。

 とかなんとか余計な事を考えてると話を聞きそびれそうだ。という訳でとりあえず雑念を脳内から取っ払った。


「んで、例の《アキエス》なんだけど」

「女神の末裔だけを指すが故に数が他より極端に少ない」


 フォルトが、ツァンドさんを遮る形でそう言った。


「それってつまり、クレシュエンド家とかって事?」

「そう、よく分かったね。フォルトは確か…嬢とは従姉弟だっけ?」

「一応父方からのな」


 となると、コイツは母親がエルフ…エルフィスな訳だ。


「んで、アキエスは《クレシュエンド》の他には《プライノス》、《ディムナドール》、《フィルツリード》の三家、合計で四つでしかも血縁しか居ないから、さっきフォルトが言った様に、他と比べて極端に数が少ない訳だ」

「特徴としては?」

「嬢に会ったんなら分かると思うけど、外見はビーンギスと何ら変わらない。ただ大きな違いとして、アキエスは少なからず魔力を持ってる。魔法が使えるかどうかは、力関係を築く上ではかなり重要なポイントとなるんだよね」


 だから、この国の頂点に君臨しているのがアキエスなのか。


 ここで私は、一つの疑問に辿り着く。


「……さっきの“言った順”には何か意味が?」

「というと?」

「アキエスの…三家? の順番」

「あぁ。良い所に気が付いたね。アレは単純に魔力の保有量…より正確に言えば、どれだけ血が女神に近いかの順番だね。血の濃さに比例して魔力の量も多くなる。だから嬢、魔術に関して言えばああ見えても実は相当の実力者だよ」


 嬢、というのは話の流れからして恐らくはアクリア嬢の事だろう。となると彼女、やんわりした仮面の下は猛者か。


「以上で種族関係の説明は終わりかな。さ、次は何にしようか?」



 そう問われて私はやっと、現状で最も重要であろう、最も気になっている事を問う事が出来るようになった。

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