◆十六話
「さて、何から話そうか?」
食堂に行き、ツァンドとリディアに手招きされ、彼らの席の向かいに座るなり、ツァンドは笑顔でそう言った。
「…………ツァンドさんが答えるんですか?」
「んーん。僕は人並みにしか分かってないからね。答えるのはフォルトだよ。でも司会進行役って必要だろう?」
ドヤ顔で言われても……さして必要でもないと思うのだが。分かる限りでは答えるのはフォルトのような感じだが。
「ま、気にしない気にしない」
「は…はぁ……」
一方的に聞いてるだけだとあまり頭に入らなそうだなーとか思ってると、後ろからこう言われた。
「聞かれた事から答えてきゃいいだろ」
「ふぇあぁ!?」
正直すげえビビった。何なんだコイツ。神出鬼没に現れやがって。
いつの間にか背後に居たのは、私より先に部屋を出た筈のフォルトである。それは私がどこかで追い抜いたか、コイツが寄り道でもしていたかなのだが、前者はそんな記憶は無いし、後者ならどこに行っていたのかという疑問が残る。
だが私のそんな疑問なんてお構い無しとでも言うように、ツァンドはフォルトに対してこう言ったのだった。
「そーだね。結局大半は僕が答えるし」
「結局ツァンドさんなんじゃないですか!!」
もうニュアンスがカッコ笑いとかついててもおかしくない。最早笑い出しそうだ。ホント何なんだこの人達。
「んじゃ、早速始めよう。何から聞きたい?」
そう言ってツァンドさんは、私をしっかりと見つめてきた。