第8話 信長の疑い
戦国時代に現れた未来兵器。
そしてAIが示したもう一人の未来人。
織田信長は、静かに気づき始めていた。
夜の陣地は静かだった。
桶狭間の戦いは終わり、兵たちは疲れ果てて眠っている。
焚き火の火が小さく揺れていた。
坂本遼は一人、ノートPCを見つめていた。
AI「KAGURA」は戦場のデータを解析し続けている。
未来介入者 検出
数 2
その文字が何度も表示されていた。
つまり。
この戦国時代には、
坂本遼以外に
もう一人
未来から来た人物がいる。
「坂本」
声がした。
遼は顔を上げた。
織田信長だった。
焚き火の向こうに立っている。
「殿」
信長は遼の手元を見た。
「その板」
ノートPCのことだった。
「それが未来を見る道具か」
遼は少し迷った。
だが、もう隠せる気がしなかった。
「……はい」
信長はゆっくり近づく。
「戦の前」
「おぬしはすべて知っていた」
遼は黙った。
信長は焚き火の前に座る。
炎の光が、その目を赤く照らしていた。
「坂本」
静かな声だった。
「おぬしは未来の人間だな」
遼の心臓が強く跳ねた。
否定できない。
信長は笑った。
「よい」
「それで戦に勝てるなら」
遼は驚いた。
「殿……?」
信長は言う。
「だが一つ聞く」
そして遼を見た。
「未来は決まっているのか」
遼は答えられなかった。
信長は続ける。
「もし未来が決まっているなら」
刀を抜く。
「この世はつまらぬ」
炎が刀に反射する。
「未来が変わるから」
「戦は面白い」
遼は小さく言った。
「……変えられます」
信長の目が光る。
「ほう」
遼はノートPCを見せた。
「AIが未来を予測します」
信長は笑った。
「ならば」
立ち上がる。
「未来を奪えばよい」
その時。
PCが警告を出した。
未来介入者 接近
遼の顔が青くなる。
「……来ます」
信長が言った。
「誰だ」
遼は画面を見た。
AIが表示した名前。
それを見て、遼は凍りついた。
「そんな……」
そこに書かれていたのは。
「プロジェクト名」
「NOBUNAGA」
第8話を読んでいただきありがとうございます。
信長はすでに気づき始めていました。
未来と戦国が交差する物語は、ここからさらに大きく動きます。




