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第4話 本当の桶狭間

桶狭間の戦いが始まる。


歴史では織田信長が奇襲で勝利する戦い。


しかしAIは「勝率0%」と告げていた。

空が暗くなっていた。


遠くで雷が鳴る。


「雨が来る」


坂本遼は空を見上げた。


AIの予測は当たっていた。


織田軍三千。


今川軍二万。


普通なら、戦うことすら無謀な戦力差だった。


しかし織田信長は笑っていた。


「雨は味方よ」


馬にまたがり、信長は振り返る。


「未来の軍師」


「本当に勝てるのだな」


遼は言葉に詰まった。


ノートPCの画面には、まだ表示されている。


勝率。


「0%」


あり得ない。


歴史では信長は勝つはずだ。


だがAIは否定している。


「殿」


遼は言った。


「予定通り、桶狭間へ向かいます」


信長はうなずいた。


「よし」


その時だった。


豪雨が降り始めた。


視界が一瞬で白くなる。


兵たちが歓声を上げた。


「雨だ!」


「敵も見えぬ!」


まさに奇襲日和だった。


信長は刀を抜く。


「突撃じゃ!」


三千の軍が一斉に走り出す。


谷へ。


桶狭間へ。


遼はPCを見た。


AI「KAGURA」が高速で計算を続けている。


戦場データ更新。


敵配置更新。


戦況予測更新。


だが。


結果は変わらない。


勝率。


「0%」


「おかしい」


遼は呟いた。


「歴史は勝つはずだ」


その瞬間。


AIが新しいメッセージを表示した。


「解析結果」


「今川義元の本陣位置を更新」


遼は画面を見た。


そして凍りついた。


場所が違う。


歴史の記録では


今川義元は


桶狭間の谷にいたはずだ。


だが。


AIが示した位置は


「丘」


谷ではない。


「そんな……」


遼は息を呑んだ。


「歴史が違う」


その瞬間。


信長の軍は谷に突入した。


だが。


そこに。


今川義元はいなかった。


遼の背筋が凍る。


「歴史が変わっている」


PCの画面に


新しいメッセージが表示された。


「原因分析」


「未来からの介入を検出」


遼は画面を見つめた。


未来からの介入。


つまり。


「……俺以外にも」


この時代に


未来の人間がいる。

歴史は変わっていた。


そしてAIは告げる。


「未来からの介入」


坂本遼以外にも、この時代に未来の存在がいる。


次回、もう一人のタイムトラベラー。

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